東京高等裁判所 平成10年(ネ)4008号 判決 1998年12月17日
東京都荒川区西尾久五丁目一番一九号
控訴人
関文隆
大阪府門真市大字門真一〇〇六番地
被控訴人
松下電器産業株式会社
同代表者代表取締役
森下洋一
同訴訟代理人弁護士
伊藤真
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一 控訴の趣旨
一 原判決を取り消す。
二 被控訴人は、被控訴人が製造する原判決別紙物件目録記載のエアコン(本件エアコン)を販売してはならない。
三 被控訴人は、既に販売済みの本件エアコンについて、ディスプレイに室内温度と屋外温度が表示できなくなる処置を施し、室内外それぞれの気温を計るセンサーを除去しなければならない。
四 被控訴人は、被控訴人のカタログのうち、原判決別紙一で赤字で囲まれた部分の記載(本件記載)のあるものをすべて回収し、処分しなければならない。
五 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
六 仮執行宣言
第二 事実関係
原判決三頁三行の「(本件カタログ」という。」を「(以下「本件カタログ」という。)」と改め、当審における主張として、「原判決には、著作権法上の「複製物」の解釈に誤りがある。」と付け加えるほか、原判決の事実摘示「第二 事案の概要」(二頁末行ないし五頁九行)と同一であるから、これを引用する。
第三 当裁判所の判断
一 当裁判所も、本件エアコンの製造販売行為及び本件記載を本件カタログに掲載し配布する行為は、原告著作物についての複製権及び著作者人格権を侵害するものではないと判断するものであるが、その理由は、原判決の理由「第三 当裁判所の判断」の一、二項(五頁一〇行ないし八頁七行)と同一であるから、これを引用する。
控訴人は、原判決には、著作権法上の「複製物」の解釈に誤りがある旨主張するが、原判決の著作権法上の「複製物」の解釈に何ら誤りは認められず、控訴人の右主張は採用することができない。
二 以上によれば、控訴人の請求はいずれも棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当であるから、本件控訴を棄却する。
(口頭弁論終結の日 平成一〇年一一月二六日)
(裁判長裁判官 永井紀昭 裁判官 塩月秀平 裁判官 市川正巳)